レンタル事業部の太髙です。

 

私は、「人からおススメされたものに、あまり興味は持てない。」

という自論を持っていますが皆さんはどうでしょうか。

 

少しでも興味や自発的に近寄ろうとする思いがあればまた違うでしょうが

例えば魚が苦手な人にその旨みを説いても伝わらないですが、

それを克服しようとしている人には、きっかけになることがある、という意味です。

私は映画や本が好きなので、人からよく、おススメは?と聞かれますが

先に書いたような自論があるせいで、基本的にはとても無難な回答をするようにしています。

 

しかし!

そんな私がその自論を蹴り飛ばして今回、ぜひ皆さんにご覧いただきたいとお勧めしたいのが

「ゴジラ -1.0(マイナスワン)」

現在絶賛劇場公開中です。

細かいことはさておき、とにかく観てください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おすすめポイントはいくつかありますが、

①人間ドラマがメインのドラマで、ゴジラ映画じゃなくても成立する脚本

②ゴジラは「絶望の象徴」であって「怪獣」じゃない

③この一本で完結しているので、前後作を気にしないで鑑賞できる

この3つが大きな理由です。

 

舞台は敗戦直後の東京。

主人公は特攻隊の生き残りで、空襲で焼け出された見知らぬ女性と他人の赤ちゃんの3人で

疑似家族として共同生活を始めるところから物語は始まります。

話の伏線や状況説明していると長くなるので全部端折りますが、

戦後が舞台の物語として、完全な王道ストーリーが映画のド真ん中に一本走っていると思ってください。

 

私は良くも悪くも今の日本には、戦後という時代以外、

空気として当時と同じくらいの閉塞感、先行きの不透明感が巷間に漂っていると思います。

その現代の感覚とスクリーンの向こう側で戦後復興期にがむしゃらに頑張る、戦争中の悪夢にうなされる、

生きる意味に戸惑う、仲間と奮起する等の営みが「今」とシンクロして、キャラクターの感情や台詞がよく理解できる、そんな感覚になります。

そして物語中盤、俯き加減だった主人公がやっと一歩踏み出そうとする気概を見出した時に、それを叩き壊すようにゴジラが登場する・・・・・。

ここで現れるゴジラに本気で腹が立つ、且つ恐ろしく、手の出せない絶望感にヤられます。

終戦直後だから警察予備隊も自衛隊もない、物資も人もない、勝てる気がしない、という状況は

コロナが蔓延していった時の絶望感や焦燥感や苛立ちに似て、身につまされる感じ。

映画はここからクライマックスに向けて加速しますが、あとは劇場で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ストーリーは先にも書いたようにベタベタなので、意外性や想定の斜め上を行く展開がない分入り込みやすいし、

立ち上がろうとする戦後の日本にゴジラという大問題が立ちはだかる図式はドラマとしてわかりやすい。

台詞には出てきても、画面上全く姿を見せないGHQや政府関係者とか、

時間経過に「?」な描写があって、細かな違和感も散見されるものの、

一つ言えるのは、エンドロールが流れ始めるころ、たぶんあなたは泣いてるでしょう。という事。

ありがちな展開と、実は…的なオチなのに、わかってるはずなのに感涙必至です。(私はかろうじて耐えました。

 

血やグロな表現がないので家族で観られますが、子供には少し難しくタルいお話に思えるかもしれません。

あと、所詮映画やドラマ、と神の視点を持つ立派な大人な方にも向かないと思います。

が、そうじゃない方には音響も映像も整った大画面でご覧いただきたい。

ゴジラ誕生から来年70年、ハリウッドに持って行っても太刀打ちできる作品に仕上がっておりますので是非。

 

あ、ちなみに佐々木蔵之介さん演じる秋津船長というキャラクター、台詞がいちいち頷けますので注目。